「親の心子知らず」






その日は一応待機所に詰めてはいたが珍しく任務も割り当てられる事も無くアスマは早い時間に自宅へと戻った。
自分の家に戻った所で何か食べられるものも無し。
すぐさま歓楽街にでも繰り出して美味い酒と飯、後は適当に見繕って女と一晩過ごすか、などとアスマは算段していたが、アスマがとりあえず一服している所に玄関のドアをノックする音が響いた。
「アースマー」
待ちきれないのか玄関のドアはもう一度二回ノックされる。
珍しいなとアスマは方眉を持ち上げる。
咥え煙草のアスマが玄関に顔を出すと里の標準服に身を包んだシカマルが立っていた。
「おう、どうした。久しぶりだな」
この三年で頭一つ分は大きくなったがまだ自分には及ばないシカマルの頭の天辺をアスマはぽんぽんと叩く。
「ガキ扱いすんな。これ」
少し顔を赤らめてアスマの手を払うと、シカマルはアスマの目の前にズイと風呂敷に包んだ重箱を差し出す。
「母ちゃんが作りすぎたから持ってけって五月蝿くってよ」
「おー、お前の母ちゃんの手料理も久しぶりだな。あがってけ」
「うん」
シカマルがまだ下忍でアスマの監督下にあった頃は良くこうしてシカマルはアスマの自宅を訪れていたが、中忍の業務や任務に追われる今はアスマとの接点が減りアスマがシカマルと会うこと自体が久しぶりだった。
「タイミングが良かったなー。俺はこれから飯を食いにいくとこだったぜ」
「そっか、って・・・。相変らず汚ねえな・・・」
アスマに続いて居間に入ろうとしてシカマルは部屋の惨状に顔を顰める。
煙草臭いし酒臭い。乱立している酒瓶は空のものもあれば飲みかけのものもある。
衣類は散乱して、部屋の隅にはコンビニの袋が山積みになっている。
「女にでも掃除してもらえよ」
「女に家の場所を教えると後々めんどくせえんだよ」
「ろくでなし」
シカマルの昔から変わらない軽口にニヤリとアスマは笑う。
アスマは片腕でざっとテーブルの上の灰皿やらグラスを脇に押しやるとドンと酒の一升瓶を置く。
「お前も付き合え」
「いいのかよ」
「中忍になったらまあ、一人前だろ」
コップに並々と酒を注いでアスマはシカマルの前に置く。
重箱の中には酒の肴にちょうど良い煮しめが一段、天麩羅が一段詰められていた。
「お前この半分片付けてけ。こんなに一人で食えねえ」
「俺、家でもう夕飯食ってきたんだって・・・・」
久しぶりに会っても流れる空気は昔と変わらない。
もそもそと箸を動かすシカマルを眺めながら部下との夕餉をアスマは楽しんだ。


アスマがだいぶほろ酔いになった頃、ふと気付けば口数が少なくなったシカマルの目が据わっている。
見れば握りしめたコップの酒は半分も減っていなかったが。
「おーい、お前大丈夫か」
「・・・おう」
と、返事をしながらもテーブルの向こうでシカマルの座高がどんどん低くなる。
しまいにはごろりとシカマルは横になった。
大丈夫ではないらしい。
とりあえず、家まで送るか。
しかし未成年者に酒を勧めた事でシカマルの両親にはどやされるだろう。
「シカクさんよりもお前の母ちゃんの方が怖ぇよ・・・」
はあ、吐く自分の息もかなり酒臭かった。
身長が伸びたとはいえ、その骨格の伸びに筋肉は追いつかずシカマルの体躯は少年独特のほっそりとした感じを残している。
あと二、三年もすればそれなりに筋肉もつき成長過程の身体はしっかりとした青年のものになるだろう。
「ほら、起きろ。帰るぞ。歩けるか?」
シカマルの上体を引き起こしてアスマはいったん胸に抱える。
その時意識が無いと思っていたシカマルが、自分の身体に回されたアスマの腕を掴んだ。
「なあ、アスマ。ちょっと聞いて」
意外と確かな口調でシカマルが言う。
「ああ?なんだ、改まって」
「俺さ、明後日から三ヶ月の里外任務なんだ」
「そうか」
今までもシカマルが里外任務に付いたことは何度もある。
それがどうかしたのかとアスマは不思議に思ったが、シカマルの顔は何か思い詰めたような憂いを帯びていた。
「何か問題でもあるのか?」
「俺さ、男で初めての相手はアスマがいい」
「・・・・あ?」
一瞬シカマルが何を言ったのかわからなかった。
自分たちは今、任務の話をしていたのではなかったか。
あんぐりと口が開いたままアスマはシカマルを見下ろす。
シカマルは真剣な顔を崩さずにアスマを見上げる。
「閨術の指南は上忍師の仕事だろ。どうすればいいのか教えてくれ」
「・・・・酔ってるか?」
「まー、少しはな・・・・」
アスマの腕の中にずるりと、シカマルの身体は埋もれそうになる。
それをぐいとアスマは引き上げる。
「あのなあ、今は時代も変わった。忍の人権も認められてる。閨術なんか会得するのは強制じゃねえぞ」
「覚えといた方が、楽だ。俺は中忍だから・・・・」
シカマルが言わんとしている事がアスマにはやっと分かった。
確かに、三ヶ月という期間はシカマルが今まで請け負った里外の任務の中では最長の任務だろう。
その間に伽の役を上官から言いつけられる可能性は高い。
人権を認めるといいながらも戦場での性欲処理の強制など、忍の社会ではまだ悪習も残っている。
今まで幸運にもシカマルはそういった経験が無かったのだろう。
「お前・・・・今日はそのつもりで来たのか?」
「そういう訳じゃねえけど・・・・」
しばし無言でアスマは考え込んでいたが、軽々とシカマルを抱きかかえて立ち上がった。
「ア・・アスマ・・・」
「てめえが言い出したことだ。腹ぁ括れ」
シカマルがアスマを見上げると、今までみたことも無いような険しい顔をしている。
「アスマ、顔怖ぇよ・・・」
アスマはシカマルに答えずにどんどんと家の奥に進む。
アスマの寝室にはシカマルも入った事が無かった。
アスマの寝室にもいつもアスマが吸う煙草の匂いが染み付いている。
どさりとベッドに降ろされすぐにシカマルの上にアスマが覆い被さってくる。
薄暗闇の中でアスマの目だけが静かに光っている。
真上から見下ろされてシカマルの息が詰まった。
「性欲処理の仕方だけ教えるか?それとも相手を陥落させる手管を覚えてぇか?」
「そんなの、わかんねぇ・・・」
「お前、女と寝た事はあるか?」
「・・・ない・・」
シカマルのベストのファスナーが下げられる。
アンダーの裾からアスマの手が潜り込んでくる。
するりと薄い腹筋を撫で上げられてシカマルの肌が粟立った。
まだ柔らかい胸の先端を指の腹で押し潰すようにするとビクビクとしなやかな身体が跳ねる。
「やっ・・・!ア、スマ・・・」
「・・・初めてで処理の仕方だけ教えるのも、偲びねえからな・・・」
アンダーを胸の上までたくし上げて、シカマルの露になった胸にアスマは口を寄せた。
「んっ・・ふ!」
声が漏れるのを嫌ってか、シカマルがきつく自分の手の甲を噛んでいる。
胸の飾りを吸い上げ、舌先で転がし、軽く歯を立ててやる。
シカマルの胸の先端は硬く尖り、アスマの唾液に濡れて鮮やかに色づいた。
「俺のやり方、覚えとけよ?」
腹筋の筋に舌を這わせながらアスマはシカマルの下肢に向かって移動する。
「アスマ、アスマ・・・」
怯えているのかアスマの行為を制するようにシカマルの手が震えながらアスマの髪を掴む。
「・・・やめとくか?」
アスマの言葉にしばらく躊躇したあと、シカマルの手はぱたりとシーツの上に落ちる。
「怖くなったら、言え」
シカマルのズボンを下履きごとアスマは一気に引き抜いた。
耐えるようにシカマルはシーツをきつく握りしめている。
色の薄いシカマルの性器はまだ柔らかく下生えの中に埋もれていた。
それを太い指ですくい上げ、下から上へとアスマはリズムをつけて扱き始めた。
「んっ、んっ・・く!」
段々とシカマルのペニスに芯が通り始める。
「自慰くらいはするだろ。それと、俺がこれからする事を覚えて相手にそっくりやってやればいい」
シカマルの腰がゆらゆらと上下に揺れ始めた。
先端からは先走りの蜜が溢れ始める。
「ひっ・・ああっ!」
突然に性器の先端を熱い肉に包まれてシカマルは悲鳴を上げた。
目線を自分の下肢に下げると自分の足の間にはアスマが顔を埋めている。
アスマは喉の奥にまでシカマルの性器を引き込むと頬の肉を使って肉茎を締め上げてくる。
これほどの強烈な快感は自慰などではとても得られない。
「あっ・・ああっ」
シカマルの目の前で白い火花が何度も散る。
ひとたまりも無かった。
「ああぁーっ!!!」
腰を突き上げるようにしてアスマの喉の奥にシカマルは思いきり吐精した。
くたりと力を無くして、シカマルはベッドに横たわる。
アスマは口の中の精液を手の中に吐き出した。
これから何をされるのかわからないのか、シカマルはアスマをぼんやりと見ていた。
ぐいと膝裏を押されて身体を折られる。
浮いた腰の下には枕が押し込まれてシカマルの秘所は真上を向く格好になった。
「力、抜けよ?」
「・・・う、・・・あ」
なんともいえない異物感に、シカマルの目に涙が込み上げてくる。
シカマルの蕾を精液でヌルついたアスマの指がゆっくりと押し開く。
アスマの指は何処までもシカマルの中に入り込んでくる。
「や・・、ああ・・」
指の腹で粘膜を押し、入り口を伸ばすように何度も出し入れする。
指の本数は三本にまで増えた。
「んあぁっ・・・!」
アスマの太く長い中指がシカマルの腹の中でクッと折り曲げられた瞬間、シカマルは強烈な射精感に襲われた。
先端に蜜を滴らせながら、再びシカマルの性器は頭をもたげ始める。
足の間の自分のペニスが再び力を取り戻す様が否応無しにシカマルの目に飛び込んでくる。
「ア、アスマッ・・!そ、こ・・やだっ・・!」
直接触られもしないのに、シカマル性器はぐんと天井に向かって立ち上がってしまっている。
激しい羞恥に身を焼かれてシカマルは身を捩じらせた。
「此処に当てるようにしてやるからな・・・」
ずるりと指が引き抜かれ安堵の息を零したのも束の間、後口に指とは比べものにならない質量が押し当てられた。
「息をゆっくり吐けよ」
シカマルの後口の皮膚が限界まで広がる。
急いては切れてしまうだろう。
「はっ・・、はっ」
酷い圧迫感にシカマルの息が浅くなる。
自分のどず黒い性器がまだ淡い色をしたシカマルの蕾を押し開いていく様はなんとも背徳的だった。
シカマルの呼吸に合わせて開閉する粘膜の動きに合わせて、アスマはゆっくりと腰を進めていった。
雁の張った部分が入り口を通過すると後は楽だった。
「く・・・、やっぱり、きついな」
シカマルの熱い肉襞の締め付けは強烈で痛いくらいだった。
グウと性器を根元まで押し込む。
痛みを堪えているのかシカマルの身体はガチガチに強張っている。
萎えかけたシカマルのペニスをアスマはまた扱いてやる。
「んっ・・・、ん」
「そうだ、気をそらせろ」
少しシカマルの後口が緩む。
アスマはシカマルに手淫を施しながら、腰を少しずつ小刻みに動かし始めた。
「はっ・・・、あぁ・・」
後口からはまだ快楽を拾えないだろうが、シカマルのペニスはヌルヌルと先端から雫を零して解放を待ち望んでいる。
ぬめりを利用してアスマはぐいぐいとシカマルの性器を扱き上げてやる。
「も、う・・!アスマァッ!」
アスマの手の中で少し大きく膨れると次の瞬間、シカマルの先端からはビュクビュクと精液が吹き上がった。
また少しシカマルの後口が緩んだ。
アスマはシカマルの両膝を肩に担ぐと本格的に腰を振り始めた。
「うっ・・、う、あっ・・・」
自分の尻の間にアスマの肉棒が出し入れされるたびに声が漏れてしまう。
更に膝裏を押されて、膝頭がシカマルの胸に付いた。
「アスマ、苦し・・・」
不自由な体勢を取らされて、自分の身体はアスマの道具のようだとシカマルは思った。
これが性欲処理というものなのか。
しかし、性器の裏を抉られて再びシカマルの目の前に白い火花が散った。
「はっ・・!あ・・・!」
アスマは性器の先端でその一点だけを何度も突き上げる。
シカマルの眼前で再び自分の雄が頭をもたげ始める。
先端からはトロトロと途切れる事なく精液が溢れている。
萎えることも、イクこともできなくて、辛い。
「もう、許し・・。アスマ・・・・」
アスマがふいにシカマルの性器の根元をきつく掴んだ。
「ひあっ・・!!」
トクリと性器の先端から精液の塊が吐き出されたと同時に、シカマルの後口がキュウと締まる。
「・・・・くっ」
アスマは一際きつくシカマルの尻の間にペニスと突き立てると、最奥に最後の一滴まで精を放った。


その後体を起こす事も叶わず、シカマルはアスマの家に泊まった。
今夜はその辺の女でも引っ掛けて熱を散らそうと思っていたのだがおかしな事になったものだ。
自分の横で泥のように眠りこけるシカマルを見てアスマは複雑な気分だった。
あどけなさが残るシカマルの寝顔を惜しむようにアスマは何度もその頬を指でなぞる。
イノやチョージに同じように詰め寄られたらと思うと少し頭が痛む。
チョージには必要なさそうだが、イノもいつかはクリアしなければならない通過点だ。
「ずっとガキのまんまじゃ居られねえからな・・・・」
シカマルが寝入ってしまった後の長い夜をアスマは一人物思いに耽り過ごした。





「で、なんであんたがここにいんだよ」
「おかしいと俺も思ったんだけどよ・・・・」

シカマルの長期任務の初日、メンバーの初顔合わせで任務の責任者として自己紹介をするアスマをシカマルは呆然と見つめた。
シカマルが伽役を命じられるのではと危惧していた最高責任者はアスマだったとは。
目を見開いて固まったままのシカマルをアスマは自分の天幕にとりあえず引き摺っていった。
「俺も知らなかったんだ。三ヶ月単位の任務なんざその辺にごろごろしてるだろうが」
「ふー・・・ん」
シカマル目は疑わしげに据わっている。
「アスマ、俺に伽役やらせんの?」
「ばっ・・!させるか、ばかやろ」
かつての部下を前にアスマは忍服の下にいやな汗をかいている。
「俺がアスマ以外の上忍に伽役命じられたらどうすんの」
「う・・・」
自分の可愛い部下が同僚の性欲処理に使われるのは、はっきりいって嫌に決まっている。
だが、それだって任務だ。口を挟むのは公私混同だろう。
だが、しかし・・・。
「どうすんだよ」
「・・・・とりあえず夜は、俺の天幕で寝ろ」
ニヤリとシカマルは勝ち誇ったように笑った。
「ははは!アスマ、週一くらいでなら相手してやってもいいぜ!でもそしたらその後二日は休みくれよな。あんたの巨根突っ込まれたら次の日なんか全然腰がたたねーよ」
珍しいほどのハイテンションでシカマルはバシバシとアスマの背中を叩く。
「あんまりえげつないこと言うんじゃねえよ・・・」
まあ、自分の所為なのだろうが。
数日でスレてしまったシカマルを前にがっくり肩を落とすアスマだった。



おしまい・・・。








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