青春★狂想曲
ACT・4 『新生イルカ!』
1
「く・・!はっ・・、はあっ・・」
肩を上下にしてイルカは荒く息をつく。
汗に濡れた項にほつれた黒髪が張り付き、匂い立つ色香にカカシは軽く眩暈を覚えた。
「ねえ、イルカ。もう終わり?」
意地悪くにやつくカカシを、顔を紅潮させてイルカはきつく睨む。
眼には未だ強い力が宿ってはいるが、その身体を支える腕はがくがくと震え、今にも崩れ落ちてしまいそうだった。
「まだ、大丈夫だよね?もっと俺を楽しませてよ・・・」
カカシの身勝手な懇願に、イルカは悔しくて眼の淵には涙が滲んでしまう。
言葉で散々責められて、かろうじて縋り付いている理性も手放してしまうのは時間の問題だった。
「あ・・はっ・・」
懸命に息を整えながらイルカはカカシを見上げる。
「そう、いい子だね。ほら、イルカ・・・もう一度・・・」
「くっ・・!!どぉらああああああぁぁぁ!!!!」
イルカは思い切り引いた腕を捻りながら前に突き出した。
「ぐっ・・!」
イルカの拳がカカシの鳩尾に綺麗に入った。
拳がカカシの身体に触れたのはほんの一瞬だったが緻密なチャクラコントロールでその破壊力は二倍にも三倍にも跳ね上がる。
カカシは勢い良く後方に吹っ飛び、木の幹に叩きつけられた。
カカシはズルズルと崩れ落ち鳩尾を押さえる。
相当なダメージを受けているはずだがそれでもカカシはニヤリとイルカに笑いかける。
「すごい、お見事」
今日は日曜日。
悪夢の乱交パーティーから二晩が過ぎ、カカシの宣言どおり学校の裏山にて体術特訓が繰り広げられているのであった。
午前中はいくら拳を突き出してものらりくらりとした動きのカカシにかわされ続け、日が高くなるにつれてイルカの興奮と(悔しくて)疲労もMAXになりつつあった。
その時だった。
なんだかわからないが突然クリーンヒットした己の拳を呆然とイルカは見つめていたが、カカシの言葉で我に返った。
じわじわとイルカの心に喜びが湧き起こってくる。
イルカの顔にはまるで太陽の光が差し込むような、花が満を持してほころび始めるような、鮮やかに打ち上げられる見事な大輪の花火のような、雪解けに芽吹く春の若葉のような(カカシビジョンによりお届けします)眩しいほどの笑顔が閃いた。
カカシは無防備なイルカの笑顔を久しぶりに見て心臓が止まりそうになった。
弾けるような笑顔を湛えてイルカはカカシの元に駆け寄ってくる。
カカシにはまるでスローモーションのように自分の元に近付いてくるイルカが見える(カカシ、乙女モード発動)。
ああ、俺の可愛いイルカ。
零れんばかりの笑顔を向けてイルカは懸命に駆け寄ってくる。
カカシの視界一杯に煌く光が飛び交い、その光に包まれたイルカはまるで妖精のよう。
ああ、俺の可愛い妖精。
その妖精は満面の笑顔を浮かべたまま右腕をぐいと後ろに引くと、しなやかに捻りを加えながら腕をカカシに伸ばしてくる・・・・。
・・・んん・・?
「あ・・!危ねぇっ・・!!!」
間一髪でカカシは真横に逃げを打った。
直前までカカシが背中を預けていた木の幹はパンッと乾いた破裂音と共に粉々に大破した。
カカシの腕でも抱えきれないほどの太さのある幹だった。ズズズと地響きと共に結構な樹齢があろう大木が地に沈み込む。
カカシの可愛い妖精は横目でカカシを捉えるとチッと荒んだ表情で舌打ちする。
「逃げんじゃねえよ、こら。次は・・・殺す!!!」
妖精がカカシに向け一歩足を踏み出すごとに殺気が陽炎となって上空に立ち昇る。
「ああん、もう。そんな無粋な気を俺に向けないでよ〜」
まだ膝を立て座り込んでいるカカシは、イルカの渾身の力を込めた殺気をくらいながらもへらへら笑っている。
瞬間イルカの怒りと興奮はMAXに達した。
「こんのエロ教師!!死ね―――!!!」
「・・・お仕置きが必要だね」
イルカに纏わりついていた熱気が急激に凍りついた。
確かにカカシの顔面に拳を打ち込んだはずだ。
それなのに今カカシはイルカを背後から抱きすくめ、イルカの喉仏をやんわりと掴んでいる。
耳元で囁かれてイルカの全身には冷汗がドッと噴出した。
「血気盛んなのも可愛いけどね、相手の力量測れないようじゃ早死にするよ?」
喉仏をグッと指の腹で押されイルカの息が詰まる。
腐っても上忍。
カカシとの圧倒的な力の差にイルカの身体は小刻みに震えだした。
「ひ・・!」
イルカの汗に濡れた項をカカシはぞろりと舐めあげる。
「ん、イルカの味がする」
「や・・め・・」
イルカの項をきつく吸い上げながらもカカシはイルカの喉元から手を離そうとしない。カカシは空いた手をするするとイルカの下肢に伸ばす。ハーフパンツの上からイルカの雄を握りこむと、そこは哀れなまでに小さく縮こまっている。
「あれ・・いつもの元気はどうしたの?」
イルカの耳の後に舌を這わせながらカカシは低い声で囁く。
耳朶を口に含みその柔らかな感触を楽しみながら、カカシは片手をハーフパンツの中へ侵入させる。下履きの中にまで遠慮もなしに指先を潜り込ませ、力なく震えているイルカのペニスを拾い上げる。
ビクリと身体を強張らせイルカは腰を引こうとするが、カカシはすでに硬く形を変えた己の昂ぶりをわざとイルカの腰を押し返すように密着させる。
「ふ・・俺が怖いの?犬だと思ってたら狼だったから驚いた?」
「いっ・・!ああっ!!」
いきなり力任せに性器を握りこまれ、イルカの目の前に火花が散った。
きつく閉じた目の端からはぽろぽろと涙が零れ落ちる。
「ああ、そうか。イルカは前だけじゃイケなかったよね。こっちも弄ってあげなきゃ」
カカシはずるりと一気に下履きごとハーフパンツをずり下げる。剥き出しになった尻の中心に指を這わせ、固く乾いた蕾を何の準備も無くこじ開けようと指先に力を込める。
イルカは身体を硬直させたまま、抵抗する事も出来ない。
歯の根がガチガチと噛み合わず、カカシへ対する今まで感じた事の無い恐怖にただ慄いていた。
「・・・・つまんなーい」
突然に身体の戒めを解かれ、イルカは地面にぐにゃりと座り込んでしまった。
イルカは訳が分からずに怯えながら涙に濡れた目をカカシに向ける。
下半身をひん剥かれたイルカの目線に合わせてカカシも眉尻を下げつつしゃがみ込む。
「ごめん、ごめーん。怖かった?お仕置きプレイ、俺はなんか萌えないみたいだわ」
「・・・・は・・?」
さっきまでの恐怖も混乱も全て吹っ飛び、イルカのシンプルな脳内は全くの無になった。
あっはっはと屈託なく笑うカカシを前に、今度はイルカの視界は怒りに急激に赤くなる。
握り締めたイルカの拳はわなわなと震えだした。
「ふざけんなっ!この変態教師っ!!」
不意を突いて繰り出した拳も難なくカカシの手に絡め取られてしまう。
突き出した腕を逆に思いきり引かれてイルカはカカシの胸の中に飛び込む格好になってしまった。
カカシの腕の中に囲まれながらイルカはカカシの上に覆い被さるように地面に倒れこむ。
カカシの前ではこんなにも力なく無力になってしまう自分に対して感情がぐちゃぐちゃに混ざり合い混乱して、イルカの噛み締めた歯の隙間からは嗚咽が漏れ出してしまう。
「うっ・・っく・・」
「ホントにごめん、イルカ・・・」
ちゅ、ちゅ、と、忙しなくイルカの顔にキスを降らせてカカシは涙を吸い取る。
「ごめん、ホントに俺、反省する。もう絶対にイルカが怖がる事はしないから」
心配そうに下から覗き込んでくるカカシをイルカは涙で曇った目でぼんやり見ていたが、下半身に不穏な動きを感じ、こめかみにビキリと血管が浮く。
「・・・どの口が・・反省するっつった、ああ!?」
剥き出しの尻をさわさわと撫でまくるカカシの手をイルカは懸命に押さえ込もうとする。
「怖がる事はしないけど、気持ちいい事はします!」
「#$☆%∞ゞ△ッ――――!!!!」
もう言葉も出ない。
頭に血が上ってこめかみの血管がぶち切れてしまいそうだった。
歯を食いしばってカカシの手の動きを封じようとするが両手で掴んでも一本の腕すらイルカの思うようにならない。
「うう―――!!」
イルカが歯を剥き出して唸ってみても勝手気ままに尻の上を動き回るカカシの手を止める事が出来ない。
イルカの滑らかな尻の感触に束の間心奪われていたカカシがハッと目線を上げると、視界一杯に上下に大きく開かれた綺麗な歯列が見えた。
カカシの素顔は常に口布に隠されているが、口布の下のすっと通った鼻筋にくっきりと歯型が付いている事を知っているのはイルカだけだ。
『これって、イルカの所有印だよねvv消えなきゃいいなあ〜』などとカカシは頭の悪い事を言ったが、その日一日、カカシは何となく大人しかったのでイルカは満足だった。
何はともあれイルカは新技を手に入れた。
翌日からイルカのお礼参りが始まった。