今年は例年になく雪が多い。
木の葉の里も、年末を前に一面が銀世界だ。
ナルトの喜び様といったら、そりゃあもう凄かった。
ああ、嬉しそうだな。ナルト。
ナルトが嬉しいと俺も嬉しい。
木の葉丸とひとしきり転げまわって、新雪に足跡を付けまくっていたかと思うと、今度は雪達磨なんか作り始めている。
まるで、あれだな。
ゆきんこみたいな愛らしさだな。
ゆきんこなんて、見た事ないが、ゆきんこが被っているあの尖がった帽子をナルトにも被らせたい。
くっ・・・・萌えるぜ。
そんなこんなで。
あれから何の進展も無いが俺は相変らずナルトに夢中だ。



〜〜〜走れ!青春君!!『クリスマス☆ラブラブ大作戦』〜〜〜



今日は7班の任務は日の高いうちに終了し、俺たち四人は受付所に報告に来ていた。
窓の外をちらほらと雪が舞いだした途端に、ナルトは弾丸のように外に駆け出していってしまった。
『雪だっ!!』
万歳のポーズを固定させたまま、ナルトは受付所の窓から見下ろせるアカデミーの校庭に元気よく飛び出した。
先に校庭で雪遊びしていた木の葉丸達と合流し、なんとも無邪気に雪遊びに没頭している。
ナルトの愛くるしさに、俺も万歳して校庭に飛び出したいくらいにテンションが上がる。
『ナルトったら、ガキね〜』
サクラは呆れ顔で云うが、そこが更にナルトの可愛らしさに拍車をかけているのがわからないのか。
いや・・・サクラがナルトの可愛らしさに気付いちゃマズイ。
こいつら、両思いになっちまうじゃねえか!!
『・・・全くだぜ』
とりあえず、サクラの意見を肯定しておく。
カカシが含み笑いで視線を送ってくるが、俺は無視する。
残った俺とカカシとサクラは受付所の中にある達磨ストーブで暖を取りながら、校庭のナルト達を何とはなしに眺めていた。

受付所に並ぶ忍の列が途切れた所でイルカ先生が俺たちに近付いてきた。
カカシが全神経をイルカ先生に集中させているのを思い切りスルーして、イルカ先生は俺に声をかけてきた。
さすがは万年中忍。
感覚の鈍さは里一番かもしれない。
『サスケ。明後日何か予定あるか?』
『明後日・・・・』
イルカ先生の問いに俺はしばし考え込む。
明日も七班で日中の任務が入っているが、明後日とその次の日は珍しく週末休みになっていた。
任務が無ければ俺には特に用事なんか無い。
修行するか、家の掃除をするかくらいだ。
『いや、特に何も無い』
『そうか』
ふにゃ、とイルカ先生は笑顔になった。
ほんとに、底抜けに人の良さそうな顔しているよな、いつも。
そんなだからカカシの馬鹿にいつもつけこまれるんだ。
『突然なんだが、一泊で温泉に行かないか?』
『・・・・』
意味が分からない。
何でイルカ先生に泊まりの旅行に誘われるんだ、俺。
隣のカカシのチャクラがピリピリと俺の肌を刺激し始めた。
『実は、商店街のクリスマスのくじ引きで、一等が当たったんだ』
ぽりぽりと、嬉しそうにイルカ先生は鼻の頭を掻く。
それは幸薄いイルカ先生にとっては、大変ラッキーな事だったろう。
ひょっとしたら向こう一年分の運を使い切ってしまったんじゃないだろうか。
『宿泊券は三人分なんだが、俺とナルトと、三人で行って来ないか?せっかくのクリスマスだし』
ナルト!!
俺の心臓は跳ね上がった。
『ええ〜!!サスケ君!うちでクリスマスパーティーやるのに〜!一緒にパーティーしようよ!』
『サスケ。女の子の誘いを断わるもんじゃないぞ』
サクラ!カカシ!邪魔をする気か!!
更にカカシはイルカ先生に見えないように俺の二の腕の内側を思い切り捻り上げてきた。
だれが、断わるかっ!!
せっかくだから、クリスマスに温泉。意味不明だが、まあ構わない。
イルカ先生付きだが、ナルトと温泉旅行。
ナルトと温泉でしっぽり。ナルトと裸の付き合い。
『ああ・・・・パーティーに誘われてるなら、そっちに行っても良いぞ?』
待て!イルカ先生!!
諦めが早すぎる!!だから万年中忍なんだっ!!
『・・・行く』
『そうか。良かった』
俺の搾り出すような承諾の言葉に、イルカ先生はさも嬉しそうに笑った。
俺の正面でサクラはぶうぶう文句を云い、俺の真横でカカシは更に二の腕の内側を捻り上げてきたが、構うものか。
俺は物凄く嬉しいぞ!!!
イルカ先生もたまには役に立つぜっ!!!
今週末に、聖夜の夜、なぜか舞台は温泉だが。
ナルトと過ごせる!!!(イルカ先生付きだけどな)
俺はかなり有頂天で、ふわふわした足取りで受付所を後にした。


家に帰る途中の杉並木を抜けるところで、物凄い殺気にあてられ、俺は真横に逃げを打った。
俺の背後にあった木の幹に破裂音がして、何かが砕け散った。
木の幹は球状に窪んでいて、中心には雪がこびり付いている。
『サスケ、よくかわしたな』
見上げると幹の上にカカシが立っている。
ポンポンと片手で宙に放っては受け止めている白い玉は何だ。
『サスケ、温泉宿泊券を賭けて勝負だ』
『・・・・・』
普通、部下を待ち伏せして、襲うか?
さっき俺に投げつけたのは、雪玉か。絶対チャクラ込めてるな。
命中したら、死ぬぞこら!!
『お前、余裕無いな。イルカ先生はお前の恋人なんだろ?』
『これから恋人になる予定なんだよ』
・・・・全部こいつの妄想だったのか。俺が話して聞かされた今までのラブっぷりは。
カカシは相当に病んでるな。痛すぎるぜ。
『お前も自腹切ってついて来たらいいだろ』
俺はカカシが少し気の毒になり、冷静にまともな意見を述べてみた。
『そしたら部屋が別々になるし、泊まる意味無いじゃん』
ふいとカカシはそっぽを向いた。
ガキか!!!
しかし、俺もその権利を譲るわけには行かない。
カカシがイルカ先生としっぽり温泉に浸かりたいのと同じくらいに、俺だってナルトの裸を拝みたいんだ。
『何で勝負するんだ』
『雪合戦だ。どちらかが倒れるまでな』
・・・・雪合戦て、もっと楽しげなものじゃなかったか。
俺が唖然としているとカカシがすかさず手中の雪玉を投げつけてきた。
俺は咄嗟に避けたが木の幹に思い切り命中し、その衝撃で枝に積もった雪が全部俺の上に落ちてきた。
息もつかせずにカカシは次々と雪玉を俺に投げつけてくる。
千手観音のようにカカシの腕が何本にも見える。カカシは本気だ。
無駄な上忍パワーを見せつけるカカシに俺は脱力しそうになるが、一瞬でも気を抜けば、殺られる!!
『火遁!!豪火球の術!!』
俺に投げつけられた雪玉は全て瞬時に水に変わったが、その水滴は悉く俺の身体の上に降り注いだ。
まずい、まずいと思ってはいたが。

俺はやっぱり風邪を引いた。