『俺ってばぜってーお前のこと倒すかんなっ!!!』
『・・・・ふん』
俺が鼻で笑うと、ナルトは悔しそうに地団太を踏み始めた。
クッ・・・可愛すぎるぜ、俺のドベ。
衝撃の可愛らしさに膝から崩れ落ちそうになるが、俺は涼しい顔をして耐える。
今時悔しいからって、地団太踏む奴はお前くらいだぞ、ナルト。
典型的な子供らしい仕草をいちいち披露するナルトに俺はメロメロだ。
「走れ!青春君!!」
気付けば随分前から目で追っていた。
まあ、金髪なんて、ちょっと珍しかったからな。
肌の色も、なんか毎日外で暴れまくっている割に、日焼けもせずに真っ白だ。
その辺の女子よりも色は白いんじゃないか?
まあ、いつも泥で薄汚れているから、ナルトの肌の白さに気付いているのは俺くらいだろうな。
もともと、色素自体が薄いんだろうな。
眼の色なんか、硝子球みたいな水色だ。
がさつな言動に目を眩まされて周りは気付いちゃいないが、あいつは綺麗な造作をしている。
そんな事を人知れず考えていた俺だったが。
運命の日は訪れた。
これは、どういう訳だ。
俺は今、どうなってしまっているんだ。
思ったよりも、柔らかいんだな。
あいつの唇は。
なんだか濡れた感触がする。
し、舌か!
これは、あいつの舌なのかっ!!
『ぐおぉお〜!!口が腐るッッ!!』
俺が舌先で更に奥深くを探ろうとした矢先に、ナルトは俺を突き飛ばすように離れていった。
俺の脳内は目まぐるしく活動していた。
物凄い速さで脳味噌の皺が増えていくのが分かる。
アドレナリンも爆発的に体内に分泌された。
口元を押さえて、俺はとりあえず机に突っ伏した。
教室内は騒然となっている。
ピンク色の髪の奴、うるさいな。うざいぜ。
事故とはいえ、衆人環視の元(教室で)、キスしてしまった。
ナルト、口が腐るだとっ。
俺はちょっと、いや、かなり、へこんだぞ。
それよりもさっきから天使が俺の脳内でやかましくラッパを吹き鳴らしている。
片方の天使がラッパを吹き鳴らせば、もう片方の天使は手篭から花びらを撒き散らしている。
なんだか、やたらめでたい感じだな。俺の脳内。
ナルトの発言にショックを受けつつも、俺は気分が高揚するのを押さえられない。
とにかく。仕方ないよな。
俺のファーストキスを奪った責任は、取ってもらわないとな。
俺が恋に落ちた瞬間だった。
俺達7班は波の国にいる。
ある人物の護衛が今回の任務だ。
つまり、朝も昼も夜もナルトと一緒だ。
サクラとカカシも一緒だが、この際目を瞑ることとする。
俺の可愛いドベと始終一緒にいられるとは、小躍りしてしまうくらいに嬉しいぜ。
でも俺のキャラではないので、小躍りしたい欲求は全身全霊で押さえ込んでおく。
はしゃぐドベ。
落ち込むドベ。
テンパるドベ。
恐怖に身を竦めるドベ。
不敵に笑うドベ。
ああ、どうしよう。
俺の脳内のドベ映像コレクションは物凄い勢いで増加していく。
嬉しさのあまり勃っちまいそうだ。
俺だって健康な男子だ。
好きな奴の傍に始終居たら反応してしまうのは自然の摂理だ。
そんなこんなで、今は野営中。
見張り役の俺は他の奴らが寝ている事をいい事にナルトの寝顔をマジマジと観察中だ。
ナルトは薄く口を開けて熟睡している。
ちょっと人よりも大きい犬歯が覗いている。
白い肌は月の光に照らされて陶器のようだ。
黙っていれば、ナルトは本当に綺麗なんだ。
俺以外の誰も、その事に気付かなければいい。
この唇に一度触れたんだよな。
俺はナルトの舌の熱さも知っている。
静かに音を立てないようにして、俺はゆっくりとナルトの上に身体を倒す。
あと、5cm。2cm・・・・。
『盛ってんじゃなーいよ。ガキが』
『くっ・・・(怒)』
あともう少しで、唇が触れ合う所だったのに。
カカシめ。
『寝てろよ。カカシ』
俺は渾身の力を込めてカカシを睨みつける。
人の恋路を邪魔する奴は、馬に蹴り殺されちまえばいい。
『俺だって禁欲中なのよ。人の前でいちゃこらしてんじゃないよ』
お前の下半身事情なんて知るか。
自分の都合で俺に八つ当たりなんか止めてくれ。
『おっさん。邪魔すんじゃねーよ』
『はあー?お子ちゃまが何云ってんの?邪魔されなきゃナルトのカマでもそのまま掘っちゃうつもりだったの?その前に、お前勃つの?精通は済んでんのか?』
声の大きさを全く配慮せずカカシの馬鹿はまくし立てる。
俺は下忍にあるまじきハイスピードでカカシに詰め寄った。
『俺は、ちゃんと、勃つ!!』
カカシの口元を思いっきり押さえて、俺は小声でドスを効かせた。
ナルトとサクラが起きちまうじゃねーか。
『あっそ』
カカシはこ馬鹿にしたように目を半開きにした。
いや、こいつはいつも目は半開きだけどな。
『ま、ナルトははっきり云ってやらなきゃ分かんないだろうけど。なにより、こいつ。サクラのこと好きじゃん?』
・・・・くっ!!痛いところを。
そうなんだ。
ナルトはサクラの事が好きで。それは周囲にバレバレだ。
ついでにサクラはどうやら俺の事が好きらしい。
なんだかややこしいな。
俺は当然、ドベの事が好きだ。
三人がそれぞれの尻を追い掛け回しているわけだ。
『う〜ん。青いね。青春だね〜』
カカシは無責任に面白がっている。
この、写輪眼め、死ね。
あ、俺も写輪眼だけどな。また、ややこしいな。
『ああ〜。俺の可愛い恋人も、今頃里で安らかに寝てんだろうなあ。ねえ、サスケ、聞いてよ。俺の恋人は、お前と同じ黒髪』
『見張り、代われ。俺は寝る』
ナルトに夜這いをかけるのを邪魔された上に、何でこいつの惚気話まで聞かなきゃいけないんだ。
カカシはしつこく俺の背中を蹴ったり小突いたりしてきたが、俺はきつく目を瞑った。