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イルカは地の底まで沈み込んでいた。
どう考えても、何度考えても、いくら頭が足りないイルカにだって今なら分かる。
(あれは手当てじゃないだろーー!!)
保険医の薬師カブトにいいように体を弄ばれ、結局突っ込まれ、中出しまでされてしまった・・・・・。
一昨日の出来事・・・
目覚めれば日はとっぷりと暮れ、保健室には自分以外に誰も居らず一人ベッドに横たわっていた。自分の体を見れば着衣の乱れは無い。一瞬カブトとの間にあったことは夢かとも思ったが、半身を起こそうとすると身体の中心を痛みが貫いた。
(あ・・・朝よりも、辛い・・・)
そろりと、ベッドから這い出す。情けないくらいのへっぴり腰でそろそろと歩きながらイルカは帰路についた。
頭が飽和状態で、何の感情も湧かない。学校裏の寮まで壁を伝い歩き、何とか辿りつくとその場で力尽き玄関で昏倒してしまった。
その後は少し騒ぎになり、その場に居合わせた寮生に部屋まで運び込まれた。
昨日今日と学校は休んでしまった。
相部屋のイズモは甲斐甲斐しく世話をしてくれた。その好意に甘えて食っちゃ寝食っちゃ寝していれば、さすがに若い身体なだけにどんどん痛みは薄れ、体力も回復してくる。
しかし身体が回復してくるとそれに比例して沸々と怒りが湧き起こる。
(ああ!くっそう!!女じゃあるまいし、こんな事くらい犬に噛まれたと思って忘れてやる!!)
もう保健室には絶対に行くもんか!!変態保険医には近づかないようにするとして、あのエロ教師の事はどうしたら良いだろう。とりあえず、3年の教室と職員室にも近づかないようにしよう・・・。
鼻息も荒く憤りを露にするが、対抗策はえらく消極的なイルカであった。
(どうせあいつらはヤレれば誰でも良いんだ。うっかり傍に近寄らなければ今後取って食われる事は無いだろう)
と、考えながらもやり場の無い怒りは抱え込んだ枕に向けられ、長年使い込んだ枕は今にも二つに引き千切れそうだ。
イルカが白い歯をむき出して七転八倒していると部屋のドアが突然開いた。
「・・・よう」
ドアの陰からゲンマが顔を出し、そのゲンマの陰からハヤテが顔を出した。
布団の上で寝っ転がった姿勢でいたイルカは固まる。
「・・・ノックくらいして下さいよ」
赤面しながらイルカは慌てて居住まいを正す。
「具合はどうですか?」
ゲンマに続いて部屋にあがりこんだハヤテは見舞いの品をイルカに手渡す。暖かい紙袋の中身は鯛焼きだった。
イルカは現金なもので、あ!と、嬉しげに声を上げると、さっきまで怒り狂っていた事も忘れてすぐさま鯛焼きに齧り付く。
「うん、まあ。もう大丈夫なんだけど」
イルカはリスのように頬袋一杯に鯛焼きを詰め込み、もっちもっちと咀嚼する。
「あのなー、イルカ。お前、カブトに無理矢理犯られたのか?」
口に詰め込んだ鯛焼きは派手にゲンマの顔に吹き飛んだ。
イルカは動揺し激しく咳き込む。
「ゲンマ、アホですか。もう少し歯に衣着せたらどうですか?」
イルカにペットボトルの茶を手渡しつつ、ハンカチでハヤテはゲンマの顔をがしがし拭ってやる。
ゲンマは体勢も表情も変えずにじっとイルカを見ている。
「で、イルカ先輩。カブト先生とのセックスは気持ち良かったですか?」
今度は慌てて喉に流し込んだウーロン茶がハヤテめがけて噴出されたが、ハヤテは抜かりなく後方に飛び退った。
「なっ・・!なっ、何で!!?」
「んー・・・、俺あの時保健室に居たんだわ」
ゲンマの言葉に血の気が引く。イルカは声も無く無意味に口をパクパク開閉させる。
「お前、カカシともヤッたのか?」
(あ・・・、もう、駄目だ)
イルカは外界の刺激を強制的にシャットアウトして、鯛焼きとウーロン茶にまみれた布団に突っ伏した。
さっきまでは屈辱を怒りに代えて、どうにか自分の中で折り合いをつけ忘れようと思っていた。
でも、人に知られてしまった。
絶対に誰にも知られたくなかった。男に抱かれたなんて。しかも二晩続けてそれぞれ別の男に。
イルカはこの事が校内に知れ渡り「ホモ」などと陰口を叩かれる自分を想像して泣きそうになってしまった。
(転校しよう・・・。あ、金が無い。それ以前に忍術学校ってここ以外にねえよ・・・・)
考えは180度転換し、一気に悲観的になるイルカ。
肩をプルプル震わせ、突っ伏したままのイルカにハヤテが穏やかに話し掛ける。
「イルカ先輩、心配しないで。誰にも言いませんから。私も以前にカブト先生に無理やり・・・・」
するりと耳に入り込んだハヤテの言葉にイルカは弾かれたように体を起こした。
「・・・お前も?」
ハヤテは儚げに微笑んだ。
ハヤテにもそんな辛い経験があったなんて。ハヤテは落ち込むような素振りは全く見せなかった。
(ハヤテは俺よりもずっと心が強いんだ)
イルカは今日までの自分を恥じた。二晩続けてカマを掘られた位が何だというんだ。死ぬ訳じゃない。
(ありがとう、ハヤテ!おかげであのホモどもに立ち向かう勇気が湧いてきた!!)
もうジェットコースター並に気分が上昇・下降を繰り返すイルカ。ある意味、精神的に物凄くタフなのだ。
「ええ、無理やり。でも結局気持ち良かったんで、結果オーライです。少々変態チックでしたが私的には美味しいセックスでした」
「は?」
「イルカ先輩も感じたんでしょ?カブト先生、割と上手いと思いますよ」
「ハヤテ・・・?」
おかしい、話がかみ合わない。イルカは二人の前でフリーズする。
「お前、きっちりイってたしな」
うんうんとゲンマが頷く。
「イルカ先輩、素質有りますよ。本当に嫌ならどうしたって勃ったり、イッたりするものじゃないですよ」
「そ、素質って何の事だ!!」
「ふふ、嫌ですね。下になる素質ですよ。あ、カカシ先生はどんな風に抱いてくれたんですか?私、あの人とはまだ寝た事がありませんね。あの人も床上手そうですけど」
「な・・!何言って・・!」
「怖がらないで受け入れれば楽になります」
ゆっくりとハヤテの白い腕が伸ばされて、掌がそっとイルカの頬を包んだ。
「私に触られるのは、気持ち悪いですか?男に抱かれて悦ぶ私は汚らわしいと思いますか?」
「ハヤテッ・・・!」
するりと頬を撫で上げられるとびくりと体に震えが走る。
「私の事が気持ち悪かったら、突き飛ばしてください・・・・・」
自然と腰が引けて仰け反った格好のイルカにハヤテはじりじりと距離を縮めていく。そう広くもない寮の部屋では少し移動しただけですぐに壁に行き着く。
逃げ場を失ったイルカにハヤテはゆっくりと顔を近づける。
(嘘だろ―――!!)
イルカの混乱を他所にハヤテの真っ赤な唇がぴたりとイルカの口に吸い付いた。まるで赤い果実を食んでいるかのようにハヤテの唇は柔らかかった。イルカの口内にするりと侵入したハヤテの舌はすぐにイルカを探り当て、ちゅうと吸い付いてくる。カカシともカブトとも違う、とにかく柔らかくて触れた先から溶けてしまいそうなキスだった。
「あ・・はぁ・・・」
離れた唇からどちらともなく吐息がこぼれる。
ハヤテはイルカの首筋に顔を寄せ、ペロリと首筋を舐め上げてから耳朶全体を口に含み歯を立てて甘噛みする。
「あっ・・あ、ハヤテェ・・・」
既にイルカは力なく崩れ落ち、ハヤテに組み敷かれている。
一方ゲンマは・・・
(ハッ・・ハヤテ!!エロ過ぎるゼ―――!!)
興奮は頂点に達し、ゲンマの股間部分は制服のズボンが窮屈そうにパッツンパッツンに張り詰めている。別にこの期に及んで誰に隠す必要があるのか、それでもゲンマは何となく前屈みになってしまう。
二人の受けっ子が絡み合う様はなんともいえずいやらしかった。
ハヤテは来る者拒まず、去る者追わず。魔性の誘い受けっ子だったのだ。
天性の受けっ子と魔性の受けっ子。二人の夢の共演(狂宴)にゲンマは目が釘付けになっている。
浴衣の襟をグッと広げてハヤテはイルカの上半身を露にする。
イルカの胸元には多少色は薄まったが、未だ花弁が散っている。その痕一つ一つにハヤテは舌を這わせる。ピクンピクンと断続的にイルカの胸は上下に跳ねる。ハヤテが胸の突起を舌先で転がせばイルカは鋭く息を吸い込み、まるで強請るかのようにハヤテの頭を掻き抱く。胸の先端を吸いながら浴衣の帯を解き、左右に衣を開く。身体をゆっくりと撫で下ろし、下着の上からイルカの性器に触れると、それは充分に硬くなり頭を持ち上げていた。下着の中へ手を潜らせ先端を掌で撫でる。
「んん!やっ・・!ああ!」
掌が先走りでぬるりと濡れた。胸の飾りを弄られただけでイルカの身体は従順に反応を示す。
「イルカ先輩。気持ちいいですか?もう、濡れていますよ」
「う・・嘘!違う!ちがっ・・あ!・・くっ!」
イルカは顔を紅潮させ、激しく首をふる。
ハヤテは参加し損ねて股間を持て余していたゲンマに目配せをする。
「後ろに回ってください」
「了解」
ゲンマの行動は素早かった。畳の上に組み敷かれていたイルカの上体を引き起こし、浴衣を剥ぎ取ると後から抱きつき自分も腰を降ろす。ハヤテはイルカの下着を手早く剥ぎ取った。
ゲンマは両腕を前に回し、イルカの両方の乳首を弄りまわしている。
「や、やめっ・・!ゲンマ先輩!」
「ん−、悪い。もう無理。とまんねえ」
ゲンマは片手でズボンの前を寛げると自分のペニスを引きずり出した。猛ったそれをイルカの尻の割れ目にぐりぐりと押し付ける。
「ひっ・・!」
「な?こんなんなっちまったからさ。大丈夫、痛くしねえから」
「すみません。今日は私がゲンマとする日なんですが、たまにこうしてイルカ先輩が代わってくれると助かるんですが・・・」
「ばっ・・!何言って、・・・は、あ・・」
イルカの足の間にうずくまったハヤテは片手で竿を扱きながら、柔らかな先端に口を寄せた。
手を使って皮を下に引っ張り降ろし、しっかり亀頭を露出させるとカリのくびれを丁寧になぞる。剥き出しにされた敏感な個所に執拗に舌先で愛撫を受け、イルカの内腿はがくがくと笑う。
イルカの肩に顎を乗せ、ハヤテが口淫する光景をゲンマは唾を飲み込みながら見下ろす。その合間もイルカの乳首への愛撫は続けられ、すっかり硬く胸の飾りは尖りきっている。
数日前まで口での愛撫などされた事もなかったイルカのペニスは、ハヤテから与えられる刺激を一つも取りこぼさずに貪欲に飲み込む。
熱がどんどん下肢に集まってくる。びくびくと引き攣りながら、イルカは快感に抗う事が出来ない。
「離れ、て。・・ハヤテ・・。もっ・・イキそ・・・」
イルカは力なく何度も手をハヤテの頭に置くが、ハヤテはますますイルカの股間に顔を寄せ、掌で握りこみながら扱き、舌先を細かく揺らして先端のくびれを抉る。
「あ!は、ああっ・・!」
一瞬の膨張の後にイルカの性器はびゅくりと吐精した。ぎゅっ、ぎゅっと扱き上げながらハヤテは最後の一滴まで吸い上げる。そしてそのまま慣れた仕草でイルカの吐き出した精を嚥下した。
「ふう・・・今日交代して頂くお礼ですよ」
少し頬を上気させ、ハヤテはニッコリとイルカを見上げた。イルカは肩で息をして、絶頂の余韻の中にいる。
「ゲンマ、ジェルは持ってますか?」
「あ、くれ」
ハヤテは制服のポケットから妖しげなチューブを取り出すと、ゲンマの指先にたっぷりと搾り出した。
「これ、残り置いていきますから。あんまりイルカ先輩に無理させちゃ駄目ですよ」
「わかった、わかった」
ハヤテには着衣の乱れは全く無く、涼しい顔をして立ち上がるとさっさと部屋のドアに向かった。
「それじゃ、お先しますね」
ハヤテはにこやかにドアを開け退室しようとしたが、戸口にはそれを阻む人だかりが出来ていた。
その面子は、ライドウ、アオバ、イズモ、コテツ、とこの寮内にいるハヤテのセフレ達が勢ぞろいしていた。
「あなた方は・・・覗き見してたんですか」
「違う!盗み聞きだ!」
ハヤテと同学年のコテツが胸を張る。
「はあ、そうですか。とりあえず、そこ通して下さい。私、帰りますんで」
「つれない事言うなよ、ハヤテ〜vv」
ガバッとライドウがハヤテを腕の中に抱き込むと、そのまま部屋の中に穴兄弟のホモ達はなだれ込んだ。
「いった・・!」
畳の上に勢い良く押し倒されてハヤテは顔をしかめる。
「何なんですか!もう!」
ハヤテの抗議はサルたちには全く届かず、ライドウが制服のシャツのボタンをプチプチと外せば、イズモはハヤテのズボンに手をかける。あっという間に裸に剥かれたハヤテの上半身にライドウとコテツがむしゃぶりついた。イズモはハヤテの下着まで剥ぎ取ると、やわやわと手でまだ柔らかいハヤテのペニスを揉み始める。
ハヤテはもう一度大きく息を吸い込んだが、溜め息を吐くだけに留めた。抵抗するのも面倒臭くなったのだ。
「皆さん、今日スルなら来週のセックスは各自から一回ずつ休みもらいますからね」
一瞬ピタリと動きが止まるサル三匹。それでも、と、ライドウ、イズモ、コテツは部屋の隅に視線を走らす。そこにはゲンマに背面座位の体勢を取らされぐちゃぐちゃに弄繰り回されているイルカの姿が・・・・。
来週一日オアズケを食らうのは痛いが―――
(イルカともシテみてえ・・・・。でも、とりあえずハヤテと一発)
サル三匹は同じ事を考えていた。
三人は上手い具合にハヤテの身体を分け合いながら事を進めていく。