忍術学園、西棟の外れにしばらく前に廃部になった部の部室に使われていた掘っ立て小屋が放置されている。
昼間でも薄暗いその場所には普段は誰も近付かないのだが、其処に近付く人影があった。
その人影は小屋の入り口に立ち、ベニヤを貼り付けたようなドアを二回ノックした。
「合い言葉は?」
「・・・・黙って開けろ、オカマ」
ボロボロのドアの向こうで、わっと泣き崩れるような野太い声があがった。
うちはイタチは構わずにバンとドアを開く。
中には床に突っ伏して泣き崩れる忍術学園現教頭の大蛇丸がいた。
「イッ、イタチ君!酷いじゃないのよ!オカマだなんてっ!!」
「・・・オカマじゃなきゃ、なんなんだ」
「あたしはオカマじゃないわっ!天使の悪戯で男の子の体に女の子の心が入っちゃっただけなのよっ!!」
「早く話を進めろ、オカマ」
わああっ!と、再び泣き崩れる大蛇丸。
「イタチさん、仮にも大蛇丸先生は『暁倶楽部』のオーナーなんですから・・・」
みかねて部屋の奥にじっとしていた鬼鮫が大蛇丸に助け舟を出した。
「魚類は黙っていろ」
「!!!イタチさんっ!非道いっ!!」
未だ肩を震わせている大蛇丸の真横に仲良く突っ伏して鬼鮫も泣き崩れる。
魚類もあっさりイタチに撃墜された。
オカマと魚類が肩を震わせて泣く様を見てイタチは顔の表情は変えずに口角だけを吊り上げる。
イタチはドSであった。
まあ、その話は置いておいて。
うちはイタチはデイダラと同じ日に木の葉忍術学園の三学年に編入した。
「三学年では暁で使えそうな受けはいなかったぞ。攻めで見目が良いといったら、不知火ゲンマあたりだな」
「そう、困ったわね・・・」
「鬼鮫とデイダラからの報告はどうなっている」
「鬼鮫ちゃんはね、一学年から物凄い子を連れてきてくれたのよ〜」
そういえば別室からは途切れることなく、かすかに甘い声が聞こえてくる。
今回そこそこの働きを見せた鬼鮫はまだ悲しみを堪えた涙目でじっとイタチを見ている。
殊更鬼鮫を無視して(鬼鮫はまたわなわなと身体を震わせ始めた。因みに鬼鮫はドMだ)イタチは話を続ける。
「試しているのか」
「そうよ〜、話がまとまれば木の葉本店の受けッ子の層が厚くなるわあ〜♪」
青白い大蛇丸の頬がぽっと染まった。


各国の隠れ里の歓楽街に『暁倶楽部』という店がある。
しかし、そこは完全会員制でよほど力のある大名か、金を持つ商人か、選ばれた者しか足を踏み入れることは出来ない。
其処は会員制の美少年倶楽部だ。
美少年を肴に酒を飲み、見合った金を出せば美少年に突っ込む事も、突っ込んでもらう事もできるという。
木の葉忍術学園教頭とは、世を忍ぶ姿。
大蛇丸は秘密裏に法スレスレの暁倶楽部を経営するオーナーなのだった。
「だあって、教職員の給料はたかが知れてるわ。公務員は目の敵にされてどんどん給与削減されちゃうし、退職金なんてどれ位出るっつうのよ。公的年金だって当てにならないし。今のうちに自助努力で何とかしなくちゃいけないのよ。その点、自営業なら定年は無いしねえ」
大蛇丸談。
「リタイア後は自来也校長と南の島にでも移住してのんびりしたいわね〜」
うっすらと頬を染めて大蛇丸は遠くを見る。
しかしそんな老いらくの恋などイタチは興味ない。
脳内がトリップし始めた大蛇丸を放置してイタチは隣室のドアを開いた。
「どうだった」
イタチが入り口から中を覗くと、部屋の中の粗末のベッドの上で黒髪の華奢な生徒が婀娜っぽい笑みをイタチに向けた。
気だるそうに、一糸纏わぬ姿でサソリが腰掛けていたベッドから立ち上がった。
その身体はお互いの体液でぬらりと全体がぬめりを帯びている。
「即戦力だな」
サソリは身体を無造作にタオルで拭いながらイタチに答えた。
「どうです、私の身体は。合格ですか?」
ハヤテは下肢を白く汚しながら妖艶な笑みをイタチとサソリに向けた。
「そうらしいな・・・」
「それでは、私の時給は5万で」
ハヤテを双眸を弓なりにしてニッコリ笑った。
だがその時、
「ふざけないでよ!!」
突如部屋の入り口に突っ立っていたイタチとサソリを蹴散らして大蛇丸が部屋の中に踏み込んだ。
大蛇丸は目を吊り上げてハヤテと対峙する。
「いいこと!店内にいる間は時給5000円よ!一晩お客様と同衾したら一回3万円!素性も知れない男に身体を売るよりもうちのお店のお客は身元も確かなんだからよっぽど安全に稼げるし、文句無いでしょ!!」
大蛇丸の剣幕に気圧される事もなくハヤテはしゃあしゃあと答える。
「文句ありありですね。私の身体が一晩で3万円なんて鼻で笑っちゃいますね」
プライベートではタダで身体をセフレどもに開いているのを棚に上げて、ハヤテは本当に鼻で笑ってみせた。
プライベートはプライベート。ビジネスはビジネス。
ビジネスでは思わぬ金の亡者ぶりを発揮するハヤテであった。
「即戦力だぞ?」
「うぬう・・・。ルックスはともかく、この子、物凄く性格に難があるわね・・・・」
サソリの言葉に大蛇丸は渋面を作った。
「世の中はギブアンドテイクですよ、教頭先生。あ、商談が成立しないならしないで結構ですが、暁倶楽部の件、PTAには黙っておいてあげます。その代わり、出すもん出してくださいね。10万円でいいです」
ニコリと微笑みながらハヤテは掌を大蛇丸にぐいと突き出す。
「ぐぬう・・・(怒)」
交渉は決裂した。


ハヤテが暁倶楽部のアジトを立ち去った後、その場は重い沈黙に包まれる。
「お前の目は節穴か!」
「あうっ!」
イタチに足蹴にされて鬼鮫は床に倒れこんだ。
「でも、でも!すごく可愛らしい方だと思ったんです!!」
「客はな、受けには癒しを求めてるんだ。攻めであの性格ならともかく、受けでは使えないだろうが!」
「ああっ!イタチさん!!」
げしげしとイタチに踵で踏みつけられて鬼鮫は苦痛と歓喜が無い混ぜになった声を上げる。
その様子を見て更にぐったりする大蛇丸。
この二人は何かにかこつけてはこういったプレイを楽しんでいるようにしか見えない。
「ああ・・・、もっと暁倶楽部の運営に親身になってくれる片腕が欲しいわあ・・・・」
そういえば二学年に送り込んだデイダラはどうなったのだろうか。
遠い目をしながら大蛇丸はため息をついた。








ギリリと唇を噛み締めてイルカはカカシを見上げる。
カカシはその視線をものともせずに涼しい顔をしてイルカを見下ろしていた。
「ぜったいさあ、イルカに隙があるんだと思うんだよね〜」
「隙ってなんだよ!!んあっ・・・!」
カカシがクイと荒縄を引っ張ると、荒縄は服の上からイルカの股間に食い込む。
イルカは学ランの上から亀甲縛りを施されて、空き教室の床に転がされていた。
「解け!この変態っ!!」
「ん〜、どうしようかな・・・・。一応お仕置きだし。何よりも俺、今すっごく楽しいし♪」
荒縄はイルカの股間部分を挟み込むように締め上げていて、カカシが後ろから尻の間をきつく通された荒縄をクンと引っ張るたびにギュウギュウとイルカの性器を揉み込むような動きをする。
荒縄の結び目は丁度イルカの後口を刺激する位置にあり、カカシが悪さするたびに二点同時に責められる。
「くっ・・・、うっ!!」
快楽に弱い自分の身体が恨めしい。
イルカの股間は布を押し上げてパンパンに膨らんでしまっている。
窮屈に押し込められている性器の盛り上がりをカカシが焦らすように擽る。
イルカの身体はビクビクと跳ねてもっと強い刺激を本人の意思に逆らって強請る。
「縛られて感じた?」
低い声で囁かれてイルカの顔は焼けるように熱くなった。
決定的な刺激を与えないまま、カカシはイルカの身体から離れた。
「イキたいでしょ。そのまんまじゃ辛いよね」
イルカはふいと顔を背ける。
そりゃあ辛い。男の生理なのだから仕方が無い。
でもカカシの前でそれを認めたら最後散々いいようにされるのが目に見えている。
どうせ好きにされるのなら最後までこの変態教師には屈したくない。
イルカは動きを封じられて無理な体勢を取らされたまま頑なにカカシの方を見ない。
「・・・あっそう」
しゃがんでイルカを覗き込んでいたカカシはすっくと立ち上がった。
「じゃあそのまま転がってればー?お昼休みにはお弁当持ってきてあげるねー」
「えっ・・」
驚いてイルカはカカシの姿を探した。
身体を捻ってイルカがごろりと転がると逆さまにカカシの姿が見えた。
カカシは教室の入り口でこちらを見ていた。
「おい、待てっ・・・・」
「じゃあイルカ、またね〜♪」
あっけなくカカシはイルカの前から姿を消した。
嘘だろ・・・・。
呆然とするイルカ。
(午前中の授業どうすんだよ・・・・)
股間の熱を持て余しながら真面目なイルカはそんな事を考えていた。
一方カカシは。
「放置プレイ〜♪お昼休みにイルカが『お願い!もうイカせて!』なんて俺に懇願してきたらどうしよう。うっわー、その想像だけで抜けるな〜」
なんてひとりごちつつ軽やかなスキップで職員室へ帰っていった。
しかし、カカシの思惑とは外れてイルカは放置される事は無かった。




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