頑張ります!と鼻息も荒く豪語したイルカはアスマの煙草臭いベッドの上に気を付けの姿勢で仰向けに横たわり、天井を睨みつけている。
何でこんな事になったのか、とアスマは軽く疲労を覚えたがよっこらせとイルカの横に片肘をついて身体をベッドに滑り込ませた。
ビクリと大袈裟な程にイルカは身体を揺らす。
「・・・っ!」
剥き出しの太腿に無造作に手を置けば、イルカは鋭く息を吸い込んだ。
その滑らかな肌の上をアスマの掌が何度も下から上にすべる。
「うぐ・・・」
色気もへったくれも無い呻き声がイルカの口から零れた。
感じないように必死で感覚を殺しているのだろう。
アスマは今度こそ遠慮せずに大きくため息をついた。
必死すぎて余裕の無いイルカはそれには気付かなかったが。


ホモの巣窟、木の葉忍術学園高等部において奇跡的にただ一人ノンケの男がいた。
それが猿飛アスマだった。
男の硬い尻を追い駆けまわすよりも、女の柔らかく丸い尻を撫で回している方が断然楽しい。
そういった訳で同僚の夕日紅の尻を日々追い掛け回している猿飛アスマが自分の身体よりも一回り小さな、成長過程の少年の身体のイルカを前に興奮する事は少しも無かったのだ。
先程一瞬だけ浮かんだイルカの色には驚かされはしたが。
(どうしたもんかな・・・・)
男の身体の愛撫の仕方など、アスマにはわからない。
だが、まあ。女を抱くように刺激をしてやれば良いのだろう。
アスマは躊躇せずにベロリとTシャツの裾をめくった。
「あ・・・」
イルカは思わず丸見えになった局部を隠すように膝を折る。
目の前に晒されたイルカの性器は興奮の兆しは全く見せずに黒い下生えの上にくたりと倒れたままだ。
自分に付いている物と同じ性器を前にまたアスマは考え込む。
やはり、全く気持ちが昂ぶる事は無い。
「まあ、手順を踏むか」
Tシャツの裾をまた元通りに戻すとカチコチに固まっているイルカの頭をわしわし撫でてやる。
しつこくイルカの黒髪を掻き回し続けていると、ふ、とイルカの身体の力が抜けた。
「よしよし。いい子だな」
イルカの眉間に寄っていた皺が消えて、見上げてくる潤んだ黒い双眸はアスマを信頼しきっている。
「おら、それじゃ今から抵抗しろよ?」
「は、はいっ」
勢い込んでイルカは返事をする。
イルカの横に寝転んでいたアスマは身体を起こすとイルカの上に覆い被さった。
「抵抗しろよ?」
「は、い・・・」
醸し出す雰囲気の変わったアスマに至近距離で見つめられて、気圧されたようにイルカの声は小さくなる。
アスマの顔が間近に降りてきて思わずイルカは顔を背けた。
自分の目の前に晒されたイルカの柔らかそうな耳朶にアスマは吸い付く。
「く・・・」
「・・・だからよ。思いっきり抵抗しろって」
軟骨を甘噛みしながらアスマがTシャツの裾を捲り上げた時、イルカが思い切りアスマの股間を狙い膝を振り上げた。
しかしそれを難なく片手でアスマは防ぐ。
「甘いな」
アスマが余裕でニヤリと笑うのを横目で見てイルカは間髪置かず下手からアスマの腹部に向けてチャクラを込めた拳を叩きつける。
しかし、またもアスマは易々とイルカの拳を大きな掌に包み込んでしまう。
イルカの両足はアスマが片足で押さえつけており、イルカの両腕は一纏めにされてアスマの片手で頭上に縫い付けられてしまった。
避けるようにアスマに横顔を見せていたイルカはいつしか真下からアスマを睨みつけている。
「くそっ・・・!」
その目には悔しいのかうっすらと涙が滲んでいた。
(単純な奴だよなぁ・・・)
アスマは半ば呆れてイルカを見下ろす。
護身の為の訓練のつもりでアスマはイルカにけしかけたのだが、イルカは自分の体術がアスマに全く歯が立たないことに本気で悔しがっているのだ。
護身、抵抗云々はイルカの頭の中から抜けてしまったらしい。
こうもすぐに相手に乗せられて振り回されていれば、あちこちでカマを掘られるのは仕方が無いだろう。
イルカの気の毒なほどの危機感の乏しさに憐れみすら抱いていたアスマだったのだが、突然目の前に火花が散った。
ゴツと骨同士がぶつかる音がアスマの頭の中に響いた。
「いっっ・・・!!」
堪らずにアスマは仰け反りイルカの上から上体を起こす。
イルカがまともに頭突きをしてきたのだ。
そのイルカは痛みのあまり両の目からボロボロと生理的な涙を流して歯を食いしばっている。
双方ダメージは大きく、アスマはもちろんイルカもしばらく口を聞くことも出来ずに痛みが過ぎ去るのをじっと待った。
「・・・・っの、バカヤロウ!!本気で犯すぞ!!」
思い切り抵抗しろとは言ったが。
ジンジンと熱を持つ額を押さえながら思わずアスマが叫ぶと、泣き濡れた目をぎゅうと瞑りイルカは身を竦めた。
何度目かの盛大なため息をアスマは零す。
自分達の行為に意味があるのか全く持って自信がなくなったのだ。
「アホくせえな。まったく何やってんだかな・・・・」
「ほんとにねー。何やってんのよ、あんた達」
聞きなれた声が頭上から降ってきてイルカは瞑っていた目を剥いた。
自分を見下ろすアスマの上から更にカカシが自分を見下ろしていた。
「!!!」
あわあわとイルカはアスマの身体の下から這い出ようとするが、アスマは悠々とイルカの身体の動きを封じる。
「カカシ、勝手に人の部屋に入ってくんじゃねえよ」
「・・・あのねえ。寝室の窓全開でおっぱじめようとしてんじゃないよ。この破廉恥教師が」
自分の事を棚に上げてカカシはアスマに言う。
「アスマってば、いつの間に男もイケるようになったの」
「あのなぁ。そんなんじゃねえよ」
「そ、そうだっ!アスマ先生とお前は違う!!一緒にすんな変態教師!!」
カカシの出現に動揺して頭がフリーズしていたイルカだったが、唯一の学園の良心(らしい)アスマがカカシにいいように言われるのを聞いて我に返った。
アスマとカカシの舌戦に突如イルカも参戦する。
「アスマ先生は俺がどんな目に遭っても抵抗できるように訓練してくれてんだ!邪魔すんなバカ!」
きゃんきゃんと鳴き喚くイルカはどんどん興奮していくが、逆にカカシはイルカを前にどんどんと頭の芯が冷えるようにいつも以上に冷静になっていく。
その二人を前にアスマはうんざりする。
こんなのはまるで。
なんだかんだ言ってこの二人は。
「一緒だよ」
カカシがベッドの上に膝で乗りあがる。
ベッドは体格の良いアスマが寝るのに丁度良いセミダブルのサイズで、大の男二人とイルカが乗ってもキシ、と小さく軋むだけだった。
「アスマだって俺とおーんなじ。イルカに突っ込みたくてしょうがないんだよ」
「違う!」
「おいおい・・・・」
オレを巻き込むな、というアスマの言葉はイルカとカカシの耳には届かない。
「俺の前でも見せないような色っぽいかっこしちゃってさあ。ちょっと、ムカツクねー」
ハッとしてイルカは自分の身体を見下ろしてみるとTシャツはアスマに捲り上げられたままの状態で下半身はもろ出しになっていた。
カカシの前から隠そうとするよりも早く、カカシの手はイルカのクタリと項垂れたペニスを拾い上げていた。
「あっ・・!」
「今朝の続き、しないとねえ?」
カカシはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべる。
「や、あっ・・あっ・・」
二、三度上下に扱いてやるだけでイルカの性器は芯を通して天井を向いた。
アスマの眼下でカカシに好き勝手に性器を弄られて、羞恥のあまりイルカの顔は焼けるように熱くなる。
ついさっきまであれほどに威勢良くカカシに噛み付いていたのに、瞬く間に主導権はカカシに移った。
「や、嫌だっ・・!アスマ、先生っ・・」
イルカが切なげに眉根を寄せてアスマを見上げる。
ベッドを降りようとするアスマの腕にイルカは縋るように両腕でしがみ付いてくるが、嫌だと言いつつもイルカは本気で嫌がっているようには到底見えない。
「おい、お前ら。やるなら帰れって・・・・」
助けるべきか。どうしたものか・・・。
困惑するアスマに人の悪い笑みを送って、カカシはイルカへの手淫を続ける。
ひくひくと身体を震わせながらイルカはカカシの手に追い立てられていく。
「あ、ああ・・せんせっ・・!」
本気で嫌なら、先程のようにカカシに頭突きを食らわせるなり、噛み付くなりすれば良い。
今はイルカの身体はアスマの拘束から自由になっているのだ。
それでもイルカはカカシにろくに抵抗も見せずにされるがままになっている。
「アスマ先生っ・・・」
潤んだ目で見上げてくるその様は助けを求めているというよりも、更なる快楽をアスマに強請っているようにしか見えなかった。
「おい・・・」
「アスマ、わかってんでしょ」
悪魔が人をそそのかす時はこのような顔をしているのかもしれない。

「イルカはアスマも欲しがってるよ」

指先でカカシはイルカの亀頭の括れを強めに擦った。
「あああぁっ!!」
イルカの性器が一瞬膨らんだ後、カカシの手に握りこまれたままその先端から勢い良く白濁の液が噴きあがる。
イルカの上にかがみこんでいたカカシの頬にまで届いた精液をカカシは指で拭い、味わうように指先を口に含んだ。
「食わず嫌いは良くないよ?アスマ」
遂情の余韻が去らないイルカはヒクンヒクンと断続的に身体を震わせながら力なく仰向けに横たわっていた。
優男の仮面を取り外した悪魔はアスマに向けた笑みを更に深くしたのだった・・・。












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