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自分が上位の者だからか。
それとも単に、同情しているのか。
気遣うように見せるイルカの笑顔にカカシは居た堪れなくなる。
何故イルカは自分のもとに来てくれたのだろう。
そして、いつまで傍にいてくれるのだろうか。
カカシの心は安寧とは程遠かった。
傍にいると宣言した通りにイルカは殺風景なカカシの部屋で、カカシとともに暮らし始めた。
イルカは自分のアパートをあっさりと引き払ってしまい、ほとんど身一つでカカシの部屋にやってきた。
「・・・どうしてですか」
酷い無体を強いたというのに、許す事ができるのか。
将来を誓い合った恋人を切り捨ててまで。
「俺がこうしたいからです。俺の意思です」
「イルカ先生・・・」
こんなことは、間違っている。
本当であれば数ヵ月後にはイルカは里の誰からも祝福されて家庭を持ち、幸せな人生を足を踏み外す事なく歩いていた。
イルカの人生を狂わせてしまったという罪悪感を拭いさる事が出来ない。
自分などの為に全てを諦めさせてしまったのかと、今更ながら自分が犯した罪にカカシは慄く。
それでもそっと寄り添われるとイルカの熱を感じて喜びに心がざわめくのだ。
あの美しい恋人のもとに帰りなさい、とイルカを解放する為の言葉をカカシはどうしても口にする事が出来なかった。
愛する者の幸せを願う事もせず、己の感情のみ満たし喜んでいる自分は矮小すぎてイルカには相応しくない。
「あなたの傍にいます」
イルカはその言葉を繰り返すだけで。
瞳の方がよほど雄弁だ。
傍にいるという言葉は憐れみから発せられる物なのだと痛いくらいに分かる。
苛立ちと遣り切れなさをぶつけるようにイルカを押し倒せば、イルカは何も言わずカカシに身体を開く。
優しいイルカ。慈悲深いイルカ。
イルカを抱くたびにカカシは焦燥感に駆られる。
いつの日か、カカシ以外の誰かをも、そうやってイルカは受け入れるのか。
あの美しいくの一を、そして自分を。
そして次は誰を?
「い・・・!あぁっ・・」
痛いとか、止めろとか、最初に身体を繋げた日以来イルカは決して行為の最中に否定の言葉を口にしない。
「・・・・っ!」
キシリと前歯できつめに小さな乳首を噛み締めてやれば、痛みを感じない訳ではないだろうに、イルカは身を小さく震わせながらも苦痛を健気にやり過ごしている。
強めの愛撫に足の間で萎縮しているイルカの性器を手の中でやわやわと揉んでやる。
痛みと快楽を同じくらいの強さで与えてやればイルカの本音を引きずり出す事ができるだろうか。
「あっ、あっ・・」
断続的に堪えきれず声を漏らし、カカシに煽られるままにイルカの身体は跳ねる。
完全に赤く濡れた先端が露出してイルカのペニスはすぐに硬く張り詰めていく。
カカシはイルカのペニスを熱い口内に引き入れた。同じ男だから何処が良いのかが分かる。
膨れ上がって脈動を繰り返す陰茎を先走りの蜜と唾液のぬめりを利用してヌルヌルと手で扱き上げながら、浅く口に含んだイルカの亀頭を舌先を尖らせて括ればかりを執拗に嬲る。
カカシと比べて色の淡いイルカのペニスはこれほどに粘着質な愛撫を受けた事は今までに無いだろう。
強すぎる刺激にイルカの腰は無意識に引けるが、カカシは両の太腿をしっかりと掴み今度は喉の奥にまでイルカの性器を飲み込む。
「あーッ・・・!!」
二度、三度と痙攣を繰り返してイルカはカカシの口内に精を放った。
それを飲み込まずにカカシは掌に吐き出す。指を充分に精液で滑らせてカカシはイルカの足の間を探る。
弛緩したイルカの身体の表面がさっと粟立った。
後口を揉むように撫でて中に侵入させる素振りを見せれば、イルカの額にはじわりと汗が滲む。
それでも意を決したようにきつく目を閉じて内股を震わせながらイルカはカカシの前に自分の陰部を晒した。
屈辱に震えながらもイルカはカカシを受け入れる。
「う・・うぅ」
グチュグチュとわざと水音を立てるようにして人差し指を後口に抜き差しする。
一本を二本に、指を増やしていき男根を模して激しくイルカのアナルを攻め立ててやれば触れられもせずにイルカの性器は勃ち上がった。
四本までカカシの指を飲み込んでいたイルカのアナルから勢い良く指を引き抜くと、カカシははちきれんばかりに滾った己のペニスを柔らかく解れた肉襞に押し付けそのまま一気に潜り込ませた。
「う、ぐ・・・」
両足を担ぎ上げられて窮屈に折り曲げられた身体を強張らせ、イルカはカカシの凶器を受け入れた。
アナルが真上を向くほどに尻を持ち上げて、カカシは根元まで腰を押し付けると苦しい体勢をイルカに取らせたままカカシは激しく抽挿を繰り返し始めた。
顔を赤らめて苦しげにイルカは眉根を寄せる。
イルカの足を高く持ち上げてイルカのペニスを眼前に突きつけるようにしてやればイルカの顔はますます羞恥に燃えた。
直接の刺激も無く勃ちあがり、雫を零して揺れているイルカの性器をわざと揺らすようにカカシは腰を何度も突き上げる。
「ひっ・・、あ、あうぅっ・・!」
根元までイルカの中にペニスを埋め込み中を掻き混ぜるように腰をグラインドさせれば、酷い圧迫感に耐え切れずイルカの目尻からは涙がぽろぽろと零れ始めた。
後口を押し広げるように、何度も角度を変えてカカシはイルカの最奥を目指して楔を穿つ。
ここまで手荒に扱われても、イルカは全く無抵抗にカカシを受け入れる。
いっそ激しく詰ってくれでもしたら楽になれると、カカシは勝手な事を思う。
無理矢理に受け入れさせたのは自分だというのに。
従順なイルカに身勝手に苛立ち、それでも身体を合わせる事でしかイルカが自分を拒んでいないのだと確認できない。
ただの反射であっても、イルカの身体の反応だけは真実の物だと信じられる。
自分の射精感をやり過ごし、強く肉襞を性器の先端で擦り上げてやればイルカの膨らみきった性器からはビュクリと精液の塊が零れた。
「や、もう、あっ・・!ああーーーーーッ!!」
「いいよ、イって・・・・」
最奥を突いてやれば押し出されるようにしてイルカのペニスから精液が吹き上がった。
遂情の反射できつく締まる肉襞を絡みつかせて二度三度、イルカの中で行き来するとカカシはイルカの中に一滴も残さずに射精した。
「う・・あ・・ぅ・・」
熱い迸りを注ぎ込まれて苦しげにイルカが声を上げる。
女のように夜毎抱かれて、精液を呑み込ませられて、それでもイルカは何も言わない。
しっとりと全身を汗に濡らして力なく横たわったまま、イルカは自分に覆い被さったままでいるカカシを悲しげに眉根を寄せて見上げる。
何度陵辱されても責めるどころかイルカはカカシに手を差し伸べようとさえする。
イルカの温かな掌がそっとカカシの頬に触れ、そのまま首筋を辿り、宥めるように肩口から二の腕へと滑り降りる。
もう、何が正しくて、何が間違っているのか。
どんな理由であれ、イルカは今、自分の一番近くに居る。
「イルカ先生は、優しいね・・・・」
それでもイルカは、いつかきっと自分から離れていく。
自分の身体を撫でるイルカの手をカカシはそっと掴んだ。
「何処にも、いかないで」
イルカは一瞬目を見張ったが、すぐにいつもの悲しげな笑みを浮かべる。
自分の手首に嵌められた銀の輪とそれに連なる冷たい鎖を見やっても、イルカは何も言わずに微笑んでいた。
じっとりとカカシの背中に汗が滲んでくる。
カカシは自分の暴挙をイルカに止めて欲しかったのだと気が付いた。
しかし、気付いても、もう遅い。
そのイルカにカカシは背を押されてしまった。
拒絶への決定打になったであろう行為までもイルカに赦され、カカシの罪悪感も理性も何もかもが瞬く間に押し流されていく。
溶けるような恍惚感の中でカカシは低く呻いた。