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イルカがカカシ以外にがっつりヤラれております。
嫌いな方は回れ右
「あ・・・うぅ・・!」
切れ切れに声が漏れる。息を吸い込むと鋭く胸が痛む。助骨が多分やられている。
全身が震えるほどのその痛みは後口に捻じ込まれた男の指がイルカの秘肉を指の腹で擦り上げる度に段々と薄れていく。
きつく両腕を頭上で縛り上げられてイルカの指先は既に感覚が無い。確かめる余裕など無いが両手の血の気が引き変色しているだろう。
忍服はクナイで切り裂かれてその機能を失い、ボロ布となって僅かにイルカの肌に纏わりついているだけだった。
イルカの抵抗は全く男には意味を成さず、全てを暴かれて身体を二つ折りにされ、男の前に晒された尻の間を太い指で掻き混ぜられている。執拗に指を抜き差しする男の指の動きに粘着質の音が伴い始めたのは摩擦に耐え切れず裂けた肉から滲み出した血の所為だ。
「うあぁっ・・・!」
男は前立腺の反射を残酷なほどに煽り、イルカを無理やりに射精させた。
激しい痛みと同時に同じほどに激しい快感を与えられてイルカの心は身体に追いつかない。
イルカの両足を抱えたまま男がグウと上体をイルカの上に倒してくる。男の腹にベタリと血に濡れたイルカの尻と、精液で汚れた性器が押し付けられたが男は気にせずに更に上体を低くしてイルカの胸の肉粒に歯を立てた。
「ひっ・・、あぁ・・・!」
しこる乳首を噛み締められてイルカは男から与えられる刺激にされるがままに声を上げた。痛みではなく快楽の為にイルカの身体はビクビクと跳ねる。あちらこちらでイルカを苦しめていた身体の痛みはいつしか感じられなくなっていた。
こうなってしまっては、こうも自分の身体がままならなくなってしまっては、イルカには男を止められない。
「う、あ、・・ぁ・・・」
柔らかく口を開けた尻の狭間を押し広げ、肉の襞を擦り上げながら男の猛った性器がイルカの中に入ってくる。
イルカの身体が上に逃げないように男はしっかりとイルカの肩口を押さえ抽挿のスピードを上げていく。男の荒い息遣いとグチャグチャと音高く響く水音だけがイルカの聴覚を支配する。
一度身体の奥に熱い飛沫を感じたが、それからもいつ終わるとも知れない律動にイルカは揺さぶられ続けた。
男のペニスの先端がイルカの肉襞の間の過敏な一点を抉り、イルカも再び射精を促される。
もともとイルカの疲労はピークに達しており、意識を失いかけては男に激しく突き上げられ過ぎる快楽に生理的な涙が止まらない。
意識を手放す事も許されず、かといって与えられつづける刺激を解放する余力などイルカには無く、白濁の蜜を吐き出し切ったイルカのペニスはどろどろにとろけて男の腹に押し潰され捏ね回されている。男は腰を更に激しくイルカに叩きつけてくる。
男の凶暴な性器はいつまでもイルカの柔らかい肉を蹂躙する。
だが、永遠に続くかと思われた責め苦は突然に終わりを迎えた。
「イルカ・・!」
聞き覚えのある声が霞みがかったイルカの視界をクリアにする。
その途端忘れていた痛みが胸を刺し、イルカは息を呑んだまま身体を強張らせた。
痛みのためにきつく閉じた瞼を何とかゆっくりと持ち上げる。
「ア・・、アスマ、さ・・・?」
実際にはイルカの声は掠れて音にはならなかった。
厳しい顔を崩さずにアスマはイルカを見下ろしている。
なぜアスマがここに居るのか。アスマの背後では青ざめた顔をした同僚が無言で立ち尽くしていた。
一瞬、自分の置かれている状況を見失ったが、意識がはっきりするにつれイルカは理解した。受付の交代に訪れた同僚が暴行を受けているイルカを見てアスマを呼びに走ったのだ。
その上忍の姿はイルカの視界には入らなかった。指の先すら動かせないイルカには男の所在を確かめる事は出来なかった。
「この事は他言無用だ」
アスマの硬い声音に同僚はコクコクと必死に頷く。
「ア・・・」
「黙ってろ」
ひりつく喉からなんとか声を絞り出そうとするイルカをアスマは制する。
空いているもう一つのベッドからアスマは寝具を引き剥がすとイルカの身体に被せ包むようにしてイルカの身体を掬い上げた。
急激に沈み込んでいく意識に今度こそイルカは抗えず暗闇に飲み込まれた。
じくじくと止まない痛みにイルカの意識が引き戻される。
目覚めれば見慣れない天井が目に飛び込んできた。それと、ここ最近で嗅ぎ慣れてしまった煙草の匂いがイルカの鼻先をくすぐる。
「アスマさん・・・」
「おう」
思ったよりも近くから声が聞こえ、しっかり覚醒していなかったイルカは驚いた。
半身を起こそうとしたが胸の他にも身体のそこかしこが痛みを訴えイルカは顔を顰める。
「いいから、寝てろ」
大柄なアスマが普段は一人で占領しているのだろうセミダブルのベッドにイルカは寝かせられていた。そのベッドの端にアスマは腰掛けてイルカを覗き込みながらも普段通りにタバコをふかしている。
「謝るんじゃねえぞ」
イルカが口を開く前にアスマが言う。
「迷惑かけられたなんて思っちゃいねえ。謝るな」
そう言われては謝罪の他にイルカは言葉が思い浮かばずに口を噤んだ。
「あの男はな、長期の国外任務に出た。帰ってこられる保障はないが・・・。悪い、火影にだけは報告したからな」
「そう・・・ですか」
自分の身に降りかかった事にあまり現実味が湧かず、イルカは呆けたようにじっと寝室の天井を見つめていた。
イルカの中には男に対する怒りは微塵も無かった。
男にねじ伏せられる直前に、不器用に表情を隠そうとする男の素顔を垣間見てイルカは男を拒絶し切れなかった。
間が悪かったのだと思う。
男に非が無いとは決して言えないが、精神が極限まで張り詰めていた男をそうと知らず刺激してしまったのはイルカだ。
どこかにきっとイルカ以外に男を受け入れてくれる人間が居ただろうにと、考えてみても詮無い事だが。
男は痛々しいほどに必死だった。
それでも、イルカは男を受け入れる事は出来ない。
心の痛みと身体の痛み。どちらが辛いかなど、比べられるものではない。
遣り切れない・・・。
物思いにふけるイルカの隣でアスマは黙って煙草を吸い続けている。
イルカの身体は清められ、アスマのアンダーウェアを寝間着代わりに着させられていた。決して小柄ではないイルカの身体をアスマのアンダーはすっぽりと包み込んでいて服の中で軽くイルカの身体が泳ぐほどだった。
それが心地良くて、ひどく安心できて、胸が余計に痛む。せり上がる涙を止められない。
「アスマさん・・・」
「なんだ」
「どうして・・・俺なんですか?」
イルカは唇を戦慄かせながら何とかそれだけ言った。イルカ自身が驚くほどに、とにかく泣けて仕方がなかった。
どうしてこうも、自分の心も、人の心も、思うようにならないのだろう。
「・・・・どうしてだろうな・・。わからねえな」
対してアスマは心を乱す事なく、変わらずにゆったりと煙草の煙を燻らせている。
「俺はお前に惚れてるって自覚していたからな。あいつに比べればそれだけは幸いだったな・・・」
アスマは片側の口角だけ上げて、少しだけ困ったというようにイルカに笑って見せた。
「俺なら、お前を泣かせたりしねえのになぁ・・・」
いつもよりは加減をして、アスマがイルカの頭を二度軽く叩く。
アスマの声はどこまでも穏やかだった。
アスマはいつも何も言わず、イルカの傍に居てくれた。
それはさり気ない優しさでも偶然でもなかったのだ。
常にイルカを気にかけ、アスマは想いを寄せていてくれたのだ。
涙を堪える事を諦めてイルカは目端から雫が溢れるに任せて目を閉じる。
イルカの目元に暖かい熱が触れた。
イルカの涙に濡れたままのアスマの唇がイルカの唇を塞ぐ。
イルカが目覚めた時に口内に残っていた微かな苦味。
鼻から抜けるその香りは良く知った物だった。
イルカの舌先に僅かに残っていた煙草の香りはアスマに口付けられて再び濃くなる。
気付かせたかったのか、それとも気付かれなくても良かったのか。
アスマからの二度目のキスをイルカは静かに受ける。
「・・・謝るんじゃねえぞ」
イルカは泣きながら、力無く頷いた。
「こればっかりは、誰が悪いってもんじゃねえ。どうしようもねえからな」
◆◆◆◆
たった数日の事だがイルカの姿を見ていない。
家にも帰って来ず、痺れを切らしてカカシは受付所を窺ってみたが、イルカはしばらく休んでいる様子だった。
欠勤、という事は他の任務についているわけではもちろんない。
得体の知れない焦燥感に苦しめられていたカカシはアスマから告げられた事実にしばらく息をする事も忘れた。
「手前をぶん殴ってやりてえが、それで今更どうこうなる訳でもねえからな。だが、確実に言えるのは、手前の所為でイルカが悪目立ちしたって事だ。まあ、それを言ったら俺も同罪か・・・」
カカシはアスマに一切反論できなかった。
「お前はこれからも変われねえだろ?イルカを振り回すだけだ。もう、イルカを解放してやれ」
アスマの言葉は鋭い刃となってカカシの身体を切り刻む。大量の血液が失われたように体温が下がり、全身が凍りついていく。
「・・・その男は、どこだ」
「里外に追放した」
アスマの答えは簡潔だった。
イルカを救う事も出来ず、何も知らずにこの数日を過ごしていた。
イルカを襲ったのは、あの時受付所でイルカに絡んでいた男だったという。その原因を作ったのは自分だ。
カカシはアスマの言葉を一語一句聞き漏らすまいと神経を尖らせる。
しかしアスマの言葉は容赦なくカカシを打ちのめしていく。
「イルカなら今俺の部屋に居る。まだろくに動けねえからな。イルカの世話は俺がする。手前が気に病むことは今更何もねえよ」
アスマは口に咥えた煙草に火をつける事なく、苛立たしげに手の中で握りつぶした。
「手前の面なんざ見たくもなかったがな、イルカから伝言だ。もう部屋には来るな、だとよ・・・」
こんな事態になるまで気付かなかったのか。
自分の愚かさに絶望する。
カカシが今一番殺してやりたいと思う相手は、イルカを犯した男ではなく、イルカを長い間苦しめたであろう自分自身だ。